1番、日本共産党の大国陽介でございます。
議第72号、平成17年度(2005)出雲市一般会計第3回補正予算、陳情第1号、イズミの開発許可申請に対し、市の不同意を求める陳情、陳情第2号、イズミの出雲市北部出店に対し、市に出店の不同意を求める陳情、陳情第6号、新しい市街地街づくり計画実現への支援ならびに促進についての陳情、陳情第10号、㈱イズミの大型店出店計画について反対を求める陳情、陳情第17号、「ゆめタウン出雲」を核とする出雲市新市街地街づくり計画の実現を求める陳情、陳情第18号、出雲市北部の住民環境と生活権に重大な影響を与える巨大大型店の出店計画が撤回されるよう強力な対応策の推進を求める陳情、陳情第19号、「㈱イズミ出店の反対を求める陳情」について、討論を行います。
まず初めに、議第72号、平成17年度(2005)出雲市一般会計第3回補正予算についてであります。
本補正予算案では、民生費のうち児童クラブ事業、障害者福祉施設整備事業や教育費の校舎リフレッシュ事業、校舎屋体耐震化優先度調査事業など、市民の福祉、教育の充実のためには欠くことのできない重要な事業など評価すべきものが多くあります。しかしながら、本補正の農業予算のうち、企業参入促進整備事業について賛同することができないため、本補正予算案に反対いたします。
以下、主な理由を申し述べます。日本の食料自給率は約40%で、食料の6割を海外に依存するという先進国でも他に例のない状況に陥ったままです。ところが、政府が本年3月に行った食料・農業・農村基本計画の見直しでは、食料自給率の引き上げ目標を5年先送りするよう閣議決定されました。我が国の食料自給率の危機的低下の原因は、歴代の自民党政府がアメリカや財界の利益を第一に食料の外国依存を進め、農産物の輸入自由化や価格政策の放棄などを行ってきたからにほかなりません。1970年以降日本を除くサミット参加国のすべてが手厚い保護政策で自国の農業の発展に力を入れ、食料自給率を向上させていることと比べても日本政府が行ってきた農業政策の異常さは際立っています。
小泉内閣は農政改革という名のもとで農産物輸入を一層拡大し、輸入品との競争に耐えられない農業経営の切り捨てや農業予算の大幅な削減に乗り出しています。つまり、市場競争に農業を完全にゆだね、それに耐えられる大規模経営だけが残ればいいという姿勢です。農業の担い手の確保や国内生産の拡大など、我が国農業の発展の最大のかぎは、再生産を確保できる農産物価格の実現であり、そのための政府による価格保証や下支えが必要であると考えます。農家の受取価格がコストを下回っては生産を維持できるはずはなく、市場原理任せでは海外から輸入されてくるものに太刀打ちできません。本事業は、長引く不況や公共事業の削減で厳しさが増す建設業の不況対策、あるいは耕作放棄地を減らすという点ではよい面もありますが、株式会社の農業参入は利潤追及優先となり、もうからなければ事業を撤退することは明白であります。農家の実態と国民の声を軽視して行われる農業改革の中で、本事業の予算化には慎重にならざるを得ず、本補正予算案には賛同することができません。
次に、株式会社イズミの出店に関連する陳情第1号、第2号、第6号、第10号、第17号、第18号、第19号についてであります。
株式会社イズミが大型店舗「ゆめタウン出雲」を県立中央病院北側に2007年秋の開店を目指し、出店しようと計画を進めています。この計画に対し、提出された陳情はイズミの出店に賛成、反対の双方から提出されたものであります。日本共産党出雲市議団は、昨年の旧出雲市9月議会からこの問題を取り上げ、新市でも本年6月議会の代表質問、今議会では一般質問で萬代弘美議員が出店計画の中止を求め質問を行ってきたところであります。
以下、イズミの出店に反対する立場から意見を述べさせていただきます。
第1に、地域経済に与える影響についてであります。先ほどの委員長報告では、出店を止める法的根拠がないとのことです。昨年の7月26日に日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、全国商店街振興組合連合会のいわゆる中小企業4団体が政府に提出したまちづくりに関する要望では大店立地法を含むまちづくり3法に対し、全国の中心市街地は活性化するどころか3法制定時よりさらに寂れている。現実は市場主義の行き過ぎにより、コミュニティが衰退していると指摘し、さらには高齢者が生活の不便を強いられるなど、さまざまな社会問題が増大している。さらに既成市街地への官民投資がむだになり、大規模な農地転用や無秩序な郊外開発によって良好な農地や田園景観が失われつつあると、現行法の問題をするどく指摘し、現行の法律では地域の秩序は守れないとの立場に立ち見直しを要望しています。つまりは、現行の法律には問題があり、各地で無秩序な開発が進められ、このままでは問題が一層深刻化し、重大な危機をもたらすということを警告しているのであります。
出雲市の商工会議所をはじめとする各団体からも相次いでイズミ出店反対の意見が表明されていることは言うまでもありません。この出雲市に店舗面積3万8,000平方メートルもの巨大店舗が進出するならば、全店舗面積の7割を大型店が占めることになり、中心市街地のさらなる衰退どころか、既存の大型店の存続さえも危うい状況に陥ることは避けられず、イズミと地元商業施設や小売業者との共存共栄はあり得ません。
第2に、イズミ出店に伴う交通問題についてであります。
出雲地域共同店舗協議会が本年8月に、専門機関に依頼して実施された調査では、ピーク時に1,700台の車での来客が予想され、3.6キロメートルの渋滞となり、県立中央病院を出入りする緊急車両に大きな影響を与えると警告しています。地域住民はもちろん市民の命への影響が予想されます。
第3に、予定地周辺の住民の皆さんへの影響についてであります。イズミの店舗建設計画では、住宅地がイズミの敷地に取り囲まれてしまいます。周辺住民から構成される出雲市北部の環境をまもる会が提出した陳情でも述べられているように、イズミ敷地内に住宅が遠慮しながら存在するという、これまでの快適な環境とは正反対の悪条件にさらされ、車の排気ガス、騒音、広大なアスファルトによる気温の上昇など、交通問題ともあわせ劣悪な生活環境となってしまい、重大な影響が及ぼされます。9月22日に島根県地域振興部が株式会社イズミに提出した開発協議の調整状況に関する通知では、特に周辺地域の生活環境の保持について適切な対応を求める意見があることが強調されています。
以上の理由により、住民合意のない株式会社イズミの出店は認めることはできません。よって、イズミ出店の反対を求める陳情第1号、第2号、第10号、第18号、第19号の委員長報告はそれぞれ不採択、出店を推進する陳情第6号、第17号の委員長報告は採択でありますが、これに賛同することはできません。
地方自治体及び住民の代表であるこの議会の果たすべき役割は、住民の暮らしを守ることにこそあると考えます。法整備が不十分な今日時点において、無秩序な開発から市民を守る、そして市民が頼れるところは行政と議会しかありません。このことを強調し、私の討論を終わらせていただきます。
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