10月30日から11月1日にかけて、観光・産業振興特別委員会の行政視察に出かけました。行き先は、長野市(善光寺周辺のまちづくり)、成田市(成田山先勝寺周辺のまちづくり)、東京都中央区(歌舞伎座)の3カ所。出雲大社周辺のまちづくりの参考にすることが目的です。
長野市の善光寺周辺では、商店や住宅などの外観を和風のものにし、歴史的な町並みを再現する取り組みが行われていました。特徴的だったのが、地域内での「まちづくり協定」です。町内や通り単位でどのような町並みにするのかという合意形成を図りながら進められていました。地域ならではの苦労もあるようでしたが、あくまでも住民の合意が前提であることにこだわっている様子でした。
成田市の先勝寺周辺は、典型的な門前町の町並み。大都市圏に近いこともあり、多くの観光客(年間600万人)でにぎわっていました。ここでは、「太鼓祭り」「弦祭り」などのイベントや「セットバック」など行政主導ではない観光振興策が、地元住民や商店街など、まさに住民主導で進められていることに大変感心しました。ここでも行政は「お手伝い」てき存在でした。
東京では、株式会社松竹の関係者から、現在出雲市が進めている「出雲阿国座」についてお話を伺いました。歌舞伎公演で一定の成果をあげている、香川県琴平町の「金丸座」などを参考に歌舞伎公演などを行う「出雲阿国座」を建設しようとしていますが、今回の話を聞く限りでは、採算性や地域経済への効果、住民参加などを考えると出雲での実現は極めて厳しいと感じました。
「まちづくり」の成功は、道路やハコものなどハードの整備だけではなり得ず、そこに住む人々の努力と行政の手法に秘訣があると感じました。住民の支えがない行政の主導では成功はあり得ないと感じました。出雲市は今後、出雲大社周辺の整備に取り組む予定ですが、「住民本意のまちづくり」になるかどうかが肝心です。少なくとも「出雲阿国座」の建設など、住民合意のない事業は直ちに見直すべきです。
(写真上・善光寺周辺、写真下・東京の歌舞伎座)
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