日本共産党の大国陽介でございます。議第87号、出雲市タラソテラピー(海洋療法)施設の設置及び管理に関する条例について、委員長報告は可決でありますが、反対の立場で討論を行います。
本条例は、多伎町で建設中の海洋療法施設の設置、管理に関する条例であります。この施設は、旧多伎町が建設を計画し、それを新市が引き継いだという経過があり、来年春のオープンを目指して建設中であります。旧多伎町での議決は尊重するとしても、当然のことながら新市で受け継いだということは、新出雲市にも責任も引き継がれたことになります。反対理由の第1は、この施設の収支計画は旧多伎町当時のものから大幅に変更されるなど、計画の見通しに甘さがあると言わざるを得ません。岩手県の宮古市ではレストランや物販施設とあわせ、市の出資する第三セクターが施設を運営していました。当初計画では2年目から経常利益が黒字になり、開業前の経費を含む累積赤字も7年目に解消するという計画でした。しかしながら、計画どおりにはいかず、2年目の2004年、部門別収支決算ではタラソ施設の経常損益は2,097万円の赤字、さらに2005年の1月から6月までの収支決算ではタラソ施設の経常損益はわずか半年で2,031万円の赤字となっており、この赤字が運営する第三セクターの経営を圧迫、三セクの累積赤字は1億4,200万円にのぼり、資金不足のおそれからも増資も行われました。しかしながら、それも及ばず、そしてついにはタラソ施設の不振は経営危機にかかわるとして、9月末でタラソ施設の管理運営を市に返上したというありさまです。
第2に、本市においては既存の健康増進施設であるゆうプラザやクアハウス、あるいは各温泉施設との競合が避けることができないという問題があります。タラソテラピーの利用者が増加すれば、クアハウスやゆうプラザを利用する人が減少するということは単純に考えられることであります。どんなに差別化を図っても人口の急増でもない限り、すべての施設がうまくいくことなどあり得ません。
最後に、そもそも公の施設は住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設であります。民間会社の儲けの道具になりはしないでしょうか。宮古市の場合には、ある株式会社が企画設計に加わり、運営も任せる予定であったものが、開始の直前に条件が合わないことを理由に手を引いたと言われております。利益が出なければ民間企業は撤退する、この当然のことが住民の暮らしを守るべき自治体にマイナスの影響を及ぼしかねません。
以上、理由を述べましたが、この施設が今後避けて通れない課題に多くぶち当たり、行くも帰るも苦しい道を選択しなければならないときが将来やってくると考えます。以上のことからタラソ施設の設置のための本条例案には賛成できません。
以上で終わります。
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