日本共産党の大国陽介でございます。
議案9件、陳情1件について討論を行います。
はじめに、議第210号、出雲市職員定数条例の一部を改正する条例についてであります。
この条例改正案は、本市職員定数を45人削減するものであります。行財政改革というのであれば、まず住民合意のない不要不急の事業を徹底して見直し、経費節減に努力をし、福祉や医療の分野などで住民サービスを守る立場で進めるべきであると考えます。住民サービスの担い手である職員の定数は安易に減らすべきではありません。
よって、本条例案には賛同できません。
次に、議第212号、出雲市一般職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例、併せて議第239号、出雲市一般職員の給与の特例に関する条例についてであります。
これら2件の条例案は、本市職員の給与を人事院勧告に基づき値下げするものです。相次ぐ公務員給与の賃下げは公務員労働者の生活のみならず、民間企業で働く市民の賃金にも悪影響を与えます。リストラによる民間賃金の抑制が公務員給与を抑え、さらに民間賃金に波及するという賃下げの悪循環を招くものです。地域経済にも悪影響を及ぼします。
よって、これらの条例案には賛同できません。
次に、議第226号、出雲市サイクリング・ターミナルの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例、併せて議第304号、議第306号、公の施設の指定管理者の指定についてであります。
公の施設は、地方自治法で規定されているように、住民の福祉を増進する目的を持って、その利用に供するための施設であります。
議第226号は、公共の施設に指定管理者制度を導入する条例改正であり、公の施設が利潤を追求する営利企業の儲けの道具となりかねません。
議第304号、議第306号の2つの議案は、公の施設である斐伊川河川敷公園、愛宕山公園の指定管理者を、民間営利会社へと指定しようとするものであります。他の施設の指定管理者には、社会福祉法人やNPO法人、第三セクター、財団法人や地元住民組織など、営利を目的としない団体が指定されようとしていますが、この2つの議案は、営利を目的とする団体を指定管理者に指定するものであります。公の施設を公共性を持たず営利を目的とする民間会社に任せ、果たして自治体の責任が果たされるでしょうか。利潤追求が優先され、公平、公正な運営など、公共性が担保されるのかどうか疑問が残ります。
よって、これらの議案には賛成できません。
次に、議第237号、出雲市表彰条例についてであります。
本条例案では、政治、経済、教育、文化等にわたり、本市の発展と市民の福利増進に功績のあった者を表彰するとされ、1つに功労表彰、2つに自治功労表彰、3つに特別功労表彰があり、市長が決定するとされています。このうち自治功労表彰については、第1に4年以上市長の職にあった者、第2に8年以上市議会議員の職にある者またはあった者、第3に12年以上助役、収入役、教育委員、選挙管理委員、監査委員、公平委員、農業委員、固定資産評価員または固定資産評価審査委員の職にある者、またはあった者との規定がなされています。市長あるいは議員として一定期間さえ経過すれば自動的に表彰の対象となります。市長や議員が議会で自らこのような条例を制定することには大きな違和感があり、このような表彰条例の制定は市民の目から見れば、行政と議会のお手盛りであります。
よって、本条例案には賛同できません。
次に、議第246号、出雲市コミュニティセンターの設置及び管理に関する条例についてであります。
本条例案は、旧出雲市を除く旧平田市、旧大社町、旧多伎町、旧湖陵町、旧佐田町にある現在の公民館を、旧出雲市も同様に新たにコミュニティセンターとして位置づけるものであります。コミュニティセンターは現在の公民館と同様に市民の活動拠点として重要な役割を持っています。現在、旧佐田町では5つの公民館がありますが、この条例案によればこの5つの公民館が2つのコミュニティセンターへと統合、縮小されることになります。佐田地域はその多くが山間部であり過疎が進んでいます。合併により支所機能は縮小され、さらに5つの公民館が2つのコミュニティセンターへと縮小されれば、大きな住民サービスの後退となります。また閉館される公民館施設は、来年度はこれまでどおり市が維持管理費を負担するものの、今後の維持管理が地元住民へしわ寄せされる恐れがあります。住民サービスの後退と地元住民への負担転嫁につながる本条例案には賛成できません。
次に、議第315号、出雲市行政組織条例についてであります。
本条例は、市役所本庁の組織機構を改編するほか、支所機能の整理統合を行うものであります。佐田、多伎、湖陵の各支所の市民生活課と健康福祉課の統合、教育課を統合し、湖陵支所に集約しようとするものであります。支所の窓口機能の縮小は直ちに住民サービスの縮小へとつながります。合併により支所だけでは政策的なことは何もできなくなり、ちょっとしたことでも余分に時間がかかるようになったとの声をお聞きしました。今求められるのは安易な整理、統合ではなく、住民サービスをいかに充実させるのかという観点から、支所機能を充実させることではないでしょうか。
よって、この条例案には賛同できません。
最後に、陳情第39号、「公共サービスの安易な民間開放は行わず、充実を求める意見書」提出に関する陳情についてであります。
本陳情は、1つに、国や自治体の責任を全うするため、市場化テストをはじめとする公共サービスの民間開放を安易に行わないこと。2つに、画一的な公務員の純減はやめ、公共サービスの改善や水準を維持するために必要な要員を確保すること。この2点を内容とする意見書を政府に送ってほしいという陳情であります。
陳情の理由でも述べられているとおり、政府は小さな政府、官から民へをかけ声に、公共サービスの民間開放と公務員の削減を進めています。耐震強度偽装事件に見られるように、効率最優先の規制緩和により国民の安心、安全が脅かされる事態が起きています。現在、政府が進めている規制緩和や行政サービスの民間開放は、企業に新たな儲けの場を確保する一方で、住民へ新たな負担をもたらすことにつながりかねません。
本陳情に対し委員長報告は不採択ですが、以上の理由により採択されることを求めます。
以上で討論を終わります。
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