1番、日本共産党の大国陽介でございます。
日本共産党出雲市議団を代表して、市長の施政方針に対する質問を行います。
今、社会的格差の拡大と貧困の増大が、かつてない状況で広がっています。ワーキングプアーと呼ばれ、まじめに働いても豊かになれず、生活保護基準以下の収入での生活を余儀なくされている人が増加し、社会問題にもなっています。そして、それに追い討ちをかけるように、各種控除の縮減、廃止による所得税、住民税の増税や、雪だるま式に値上げされる介護保険料や国民健康保険料など、甚大は負担増がもたらされています。今、地方自治体に求められるのは、国の悪政に乗っかり住民負担を引き上げることや、市民合意のない事業に熱中するのではなく、自治体本来の役割である、住民の福祉と暮らしを守ることにこそあると考えます。
質問の第1は、株式会社イズミによる超大型店の出店についてであります。
市長は施政方針で、イズミによる出店を単なるショッピングモールではなく、映像芸術等の集積により、21世紀の市民生活に大きなインパクトを与える一大文化産業として、地域発展の牽引力が期待されると述べられました。地元住民や商店街、協同店舗組合などをはじめとする地元小売業者の多くは、今でもイズミによる超大型店の出店に反対をしておられます。このほど私ども日本共産党が行ったアンケートでは、イズミ出店について「プラスになる」と回答された方は16.6%、「影響はない」と回答された方が7.2%、「マイナスになる」と回答された方が48.6%、「分からない」と回答された方が26.9%という状況です。そしてアンケートには、老人は近くの店に困ります。高齢者や乗り物に乗れない人、周辺部の人は困る。元の商店街はすっかりさびれ、イズミができれば現在の店も倒産して、出雲の中心部は裏町になってしまう。小規模店でも暮らしができる政治をしてほしいなどの書き込みが寄せられています。
市長はこれらの声にどう応えられるでしょうか。私たち日本共産党は、この間ほぼ毎回の議会で、この問題を取り上げていますが、市長はいまだに地元小売業者とイズミとが、共存共栄できるということの根拠をお示しになったことはありません。近隣住民の間では人権侵害ともいえる住環境悪化が懸念され、この解決策も十分な理解があるとは言えません。市長の所見を伺います。
質問の第2は、品目横断的経営安定対策についてであります。
この制度は中小規模の農家を、農業政策の対象から外してしまうものであり、到底容認できるものではありません。この品目横断対策の対象となるためには、原則として戸別経営の認定農業者で4ヘクタール以上、集落営農組織で20ヘクタール以上の規模が必要とされていますが、出雲市では特例基準が適用され、集落営農組織が中山間地域で10ヘクタール以上、一般地域で12.8ヘクタール以上、認定農業者が全域で2.6ヘクタール以上となっています。これは要件に満たない多数の中小零細農家や、山地を政策対象から排除するものであり、関係者からは戸惑いや不安の声が聞こえてきます。農業政策は大規模化や農家選別を押しつけるのではなく、意欲のある農家すべてを大事にすることこそ必要であります。同時に自治体に求められているのは、規模の大小にかかわらず農家の意欲を引き出し、農業をこれからも続けていくことができるような施策であります。この品目横断対策に対する市長の所見を伺います。
質問の第3は、大社町で建設が計画されている「出雲阿國座」についてであります。
日本共産党は、芸術文化の振興や観光振興を否定するものではありません。大社町をはじめとする観光振興やまちづくりは、大きな課題であると同時に、住民自治に対して行政がいかにかかわるかという、自治体の本質が問われる問題です。観光振興やまちづくりは、あくまで住民が主体となって進められ、関係者の理解と納得が得られてこそ、初めて成功へ向かって動き出すものです。日本共産党はこのほど全市を対象に行ったアンケートでは、昨年の夏に大社町で行ったものと同様に、9割を超える方が必要ないと回答されています。そして、書き込まれた意見を幾つか紹介しますと、私たち市民は税金の大切さを感じ取ってほしいのです。感じてください。市民の代表の方たちです。もっとしっかり考え直してください。あるいは、いろいろ事業を計画されるのはいいですが、そのツケが結局住民に回るのが常です。箱物ばかり、老人、子どもたちのために使ってほしい。はっきり言って税金のむだ遣いとしか思えない。市民の生活に何が必要か考えるべき。議会では私たち住民の声を生かしてほしい。箱物ばかりつくっては第二の夕張になりかねません。
市長、これではとても住民が主体とは言えず、理解と納得は、はるかかなたの、更に向こうにも見えてこないという状況ではありませんか。事業費が30億円前後と言われるこの事業に、地元住民をはじめ市民の合意は全くといっていいほど得られていません。このまま進めるのなら将来のまちづくりや観光振興、そして行政への信頼に大きな影響を与えかねません。本事業の中止を含む見直しを求めますが、いかがですか伺います。
質問の第4は、健康文化のまちづくりについてであります。
この間の構造改革のもとで行われた住民負担増は、格差の拡大と貧困の増大に更に拍車をかけています。2006年1月に所得税の定率減税の半減、4月に介護保険料の値上げ、6月に住民税の定率減税の半減、65歳以上の住民税の公的年金控除の見直し、同じく老年者控除の廃止、10月に70歳以上の医療費自己負担アップ、今年に入ってからは、1月に所得税の定率減税の廃止、6月には住民税の定率減税の廃止など、大幅な負担増がもたらされ、さらに今後も予定されています。これはまさに市民の健康文化を脅かす、大増税の連続ではないでしょうか。これらの負担増が出雲市民に与えた影響額は、総額で一体幾らになるのか伺います。
日本共産党が行ったアンケートでは、数年前に比べて暮らしはどうなりましたかとの問いに、「苦しくなった」と回答された人が45.8%、「やや苦しくなった」と回答された人が38.2%、「変わらない」と回答された人が15.4%、「楽になった」と回答された人は、わずかに0.6%という結果です。そして、この質問で苦しくなった、やや苦しくなったと回答された方に原因を聞いた質問では、「失業や転職」「賃金の引き下げ」「経営の悪化」と回答された人が25%、「医療や介護、税金などの負担が増えた」と回答された人が51.6%に上りました。住民税の増額分やそれに伴う介護保険料の引き上げなどは、少なくとも住民税の低所得者に対する負担軽減や保険料の引き下げ、福祉施策の充実など、市民の暮らしや福祉を充実させるために使うべきだと考えますが、いかがですか所見を伺います。
質問の第5は、行政の効率化についてであります。
第1に、市長は施政方針で、民間で行うことがより効率的である業務は、民間にゆだねるとの観点に立って、官から民への移行を進めると述べられています。行財政の効率的な運営は当然のことでありますが、単に数字合わせのための行財政改革では何の意味もありません。行政の効率化と称して住民の福祉の増進を図るという、自治体本来の使命を放棄しては本末転倒であります。市長の所見を伺います。
第2に、同じく施政方針で、公立保育所や介護老人保健施設の民営化、環境センターの民間委託を進めるとされていますが、これら保育所や介護老人保健施設は、極めて公共性の高い施設であり、行政が一番責任を持たなければならない施設であり、民営化すべきではありません。撤回を求めますがいかがですか、市長の所見を伺います。
また、使用料等の受益者負担の適正化と、補助金等の見直しに取り組むとされていますが、適正化の名のもとに住民負担の引き上げや、必要な補助金が削減されることがあってはなりません。この具体的な内容を伺います。
以上で終わります。
(市長)
ただいまの大国議員のご質問にお答えいたします。
まず、大型ショッピングセンターの問題についての、この中心部における商業主の皆様のお困り、あるいは市全体の活力が減ずるというような観点からの憂慮のお声、よく聞いておりますし、議員からも何度もこの問題の指摘がございます。イズミ出店によって影響が憂慮される声、私も痛切に感じるところがございますので、中心部は中心部なりに中心市街地の新たな国家認定を受けて、助成の道を開こうとしているところでございます。
他方、イズミにおいてもいろいろ地元の皆さんとの協力、発展、お互いに支え合うということの重要性に鑑みて、テナント等についても広く門戸を開かれんとしているところでございます。昨年11月には、地元参加企業160社のうち、4割が市内の企業であったというこの入店説明会、あるいは、納入商品の商談会、80社を超える市内の事業者、団体のご参加。他方、中心街における商業戦略としても、新しい産直のお店を開いたり、新しい食品カードの導入をしたり、あるいは中心街において、ビジネス等とともに芸術の薫り豊かなギャラリーストリートをつくるとか、あるいはフードショッピング街、レストラン、飲食店あるいはドリンクス、こういうものを出す店、こういうものに切り替えていくということが、今必要とされている状況下において、更なる前進をやっていけば、やはり両立は可能という思いで頑張っているところでございます。証拠を示せとおっしゃれば、もう実践してみる以外にないという今状況でございます。
それから、品目横断的経営安定対策、これは、やはり最初はもっともっと大規模の生産ユニット、20ヘクタール以上とか、厳しいことを言っていましたけど、この西日本、特に山陰地方は激しく抵抗されまして、我々も強く抗議いたしまして、かなり具体的日程、現実可能なところまで下りてきております。この上は農林水産省、これの国家戦略としての国際的貿易に対応できる、農業の生産性といっていますが、そういうものよりも身近な食育の環境、生涯長寿、健康の基としての食生活の安定のための、産直市場とか地産地消の問題、これをどう考えるかということで、今後とも全国市長会挙げて戦っていかなければならない課題だと思っております。出雲市は出雲市なりの農業助成策を持って、対応していきたいと考えているところでございます。
それと、阿國座の問題、再三ご指摘いただいているところでございます。
自治協会挙げて総決起大会等も開催していただき、この春にはまたお呼びいただいているところでございます。大国議員さんのお調べになっている声も住民の声。自治協会長さんを通じて吸い上げられたところの、決起集会等の声もまさに住民の声。そして大社地区から選出されております市議会議員の皆様の声、これはまさしく地元の代表としておっしゃっている声でございます。その声に私は対して頑張っていくと。そして心配の皆さん方はいろんな事情があって心配なんですよ。今までそういう話があったけど、全く話ばかりで終わったとか、本当かいな、今回もやるのかいなというようなこと、等々のご心配があってのこともありまして、今回こそ実践していかなければならないというような思いで、必ず大社地区の皆様も含め、全市民の皆様のご期待に応えていくべきだという思いで、頑張っているさなかでございます。
それから、住民負担の問題で、確かにご指摘のとおり介護保険料、あるいは医療保険の医療費の問題等々、上がってくるものは多いわけでございます。そのような中で、市民税の影響額についてのご指摘もいただいたわけでございます。
税制改正による市民税の影響額については、平成18年度(2006)は定率減税の半減、老齢者非課税措置の廃止、老齢者控除の廃止、公的年金控除の見直しが行われ、平成18年度(2006)は、市民税への影響額は約4億6,000万円の見込みでございます。また、平成19年度(2007)の市民税の増額は、定率減税の廃止による影響でありますが、その額は2億4,000万円と予測しておるところでございます。これらの住民税の増税分については、貴重な財源として福祉、教育などの諸施策に、有効に活用しているところでございます。国税としての所得税は、その分だけ下がるわけでございますので、そういうことも念頭に置きながら、いただいた住民税については、本当にご心配の向きに応えられるように、活用しているということでございます。
また、介護保険料は介護サービスの給付費を見込んだ上で、必要額を保険料として算定するものでありまして、他の事業の財源に充てることはできない性格のものとなっているところでございます。
以上、答弁とさせていただきます。
次に、行財政改革の問題でございます。
この行財政改革はあくまでも民間でできるものは民間で、そして、官が独占しているサービス、本当は民間の企業でもやれるのに市役所が全部やられると、我々には雇用の場もない、ビジネスのチャンスもないという声もあるわけなんです。で、ございましてそういうお声にも対していかなければいけないということで、給食センターなども、現業部門は大体民間でやっていただいておりますが、これとて更に民営化の道も開かれなければならないと、もう世の中の常識は給食をサービスするということについては、民間で結構という動きもございます。また、環境センターの仕事も、民間の力でできるということでございます。市によっては上水道の管理も委託をして、受託してやっていますよね、水道事業も。それぐらいにこの民においてビジネスを増やすという方向が、私は新しい日本の経済活力を上げていく道ではなかろうかと思っているところでございます。そういう中で、公共サービスの安全性、安定性が失われないように、努力していくことはもとよりでございます。今後ともその方向で更に頑張っていきたいと思っているところでございます。
公立の保育所あるいは老人保健施設、愛宕苑の問題もございますが、保育所については、新年度に民営化検討委員会を更にしっかり設置して、この検討を深めていただこうということでございます。
老人保健施設の愛宕苑、旧平田市においては民間での受け皿がないことから、市の責任においてやってこられたわけでございます。しかし、現在では市内でも愛宕苑を除いてすべて民営機関で行われているということで、県内でもほとんど民営で行われているということでございます。こういうことを踏まえて、適切に対応をしていきたいと思っているところでございます。
行政の効率化、もとよりこの効率的な行財政運営を行っていく上で、やはり、この度上下水道使用料の統一もございましたが、我々はこのいただいた財源を本当に市民の皆様のことを思って、これを活用していくという方向で、頑張らなければいけないと思っているところでございます。
そして、最後になりますけれど、この暮らしを守る、生活の重要性を守ると、福祉と暮らし、これを行うにも何をもってもやはり財源でございます。財源は経済行為、所得、生産活動、経済の発展を目指すものでございます。経済の発展に促されるような基盤整備、これもやっていかないといけない。そのための街路とか道路の整備とか川の改修とか、そして、また大学や高校、小・中学校、幼稚園の教育活動とか、こういうことは基本的に重要なことでございまして、それをもって、やはり活力あふれる経済国家としての福祉、あるいは暮らしの安定化という道が開かれるということを、改めて申し上げまして私の答弁とさせていただきます。
(再質問)
再質問いたします。
イズミの出店についてですが、私なかなかその市長の出店いいですよという判断がですね、今まで私納得することができません。こればかりはすれ違いになると思いますが、そこに住んでおられる方、非常に環境が変わるということで、まだイズミの方との調整もうまくいっていないという状況で、市長、先ほど実践してみないと分からないということを言われましたが、出てからでは遅いということも私あると思います。
それと、阿國座について、市長が言われること全く私違うと思います。今、市民が望んでいるのは、毎日の生活にかかわることをもっと応援してほしいと、これだけの負担増に耐えられないというのが市民の声です。この間、ずっと先ほど申しました、たび重なる増税、介護保険料の値上げ、医療費の値上げなどで、本当に大変なところにきている中で、貴重な税金を使って住民合意のない事業をやっていいのかということが、私は問われていると思います。そして、先ほど答弁ありましたが、市民の負担増が幾らかとお聞きしたんですが、市税の市民税の増収分のみのお答えしかありませんでしたので、最後、その数字をはっきりとお示しいただきたいと思います。
(市長)
これは見解の相違ではなくて、私自身、具体的にいろんなところに出かけて、まさしく対話と交流で市政フォーラムを含めて、厳しい話も随分聞きながらの感覚で申し上げておるんです。市民の皆様方、それは最低限の生活、食生活は満たされるだけでいいのかと、食生活プラスアルファーもほしいと、そのための阿國座も必要ではないかということ。出雲ドームの議論もあったでしょう。当時ね。60億円、80億円。でも、あれがあったからこそ、出雲の市民における経済の交流、所得のパイの拡大、今日の発展はあれは大きな存在なんですよ。私も構造物の実態いろいろ、もっとああすべきこうすべきという思いがあるけれど、あの物自体はいいんじゃないかと、科学館だって、これは21世紀のお子さん方の理科教育に、大変な貢献をしているんですよ。こういうものをやはり大変だ、だめだだめだと、かねてからおっしゃっているけれど、やっぱりこれはやっておかなければいけないと、そういう振りつけというものは最低限必要なんです。そんな華美なものはないんですよ。今回のものも、やはり観光交流といっても、何もないでいらっしゃい、いらっしゃいだけでなくて、住民の皆さんがパワーを持ってやりたいと、やる意欲もありますと、顕彰会等、皆さん方頑張ってこられたと、そして佐田の地歌舞伎も含めて、実演をする団体も育っていると。あるいは神楽から太鼓から、そして日本舞踊から、最近では能もやられる方も出ていますけれど、そういう方々への道も開いていくことは、全体の活力になってくると。
そして、介護保険料等上げておるのはね、介護保険料を上げた金で阿國座をつくるんじゃないですよ。先ほど言いましたね、介護保険料は介護保険の方へ出すんですよ。そのために出すんですよ。こっちが増税でこれで阿國座をつくっていると、それは大変な誤解になりますからね、ちょっと市民の皆様に誤解のないようにですね、この辺ははっきり申し上げておかなければいかんと思っております。
(財政部長)
ご質問のありました、税関係の増分ということでございますが、所得税の増額につきましては、出雲税務署が所管する対象者は、出雲市民に限定されておりませんので、現時点では把握できないというのが実情でございます。なお、先ほど申し上げましたのは、市民税分だけでございますけれども、県民税の増額分を申し上げますと、平成18年度(2006)、平成19年度(2007)合わせまして、約2億9,000万円の増額になっているということでございます。
(再々質問)
昨年の確か6月議会か9月議会だったと思いますが、出雲阿國座について質問を行いました。6月でやったときに市長さんはアンケートをやってみろと私に言われました。それを基にアンケートを行いまして、9月でアンケート結果を公表して、そのときに市長が言われたことは、全世界でアンケートをやったらどうか、あるいはアンケートをしなくても私は大体の雰囲気で分かるんだと、こういうことをおっしゃられました。私どもの調査では、明らかに今は必要ないという声が圧倒的多数です。この間のいろんな負担が上がりました。何回も言いませんが、市民は負担が上がっているのにもかかわらず、税金を合意のないところに使うという市長の姿勢が、私は間違っていますよということが言いたいです。
それと、先ほど財政部長答弁ありましたが、私ここで聞いたのは、この間の市民の負担増が、総額で幾らになるかということを聞いたのであって、市民税、県民税の増額分が幾らかということは聞いておりません。所得税の増収分が分からないというのは分かりますが、それ以外の部分の総額ならば分かると思って、事前の打ち合わせも行ったつもりですが、お答えいただけないのは非常に残念です。私、本当に今、西尾市長、市民から見て税金の使い方がどういうふうにされるのか、非常に注目を浴びております。そして大社の観光振興やまちづくりも非常に注目されています。住民合意の基で進めなければ、これは将来のまちづくりに大きな禍根を残すし、今、市民が求めているのは、暮らしや福祉の分野を充実させることだと思います。
以上、申し上げて私の質問を終わります
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