1番、日本共産党の大国陽介でございます。
質問の第1は、斐伊川水道事業の尾原ダム治水についてであります。
今から12年前の平成5年度(1993)より始まった斐伊川水道事業は、斐伊川上流部に治水目的として現在国直轄で建設中の尾原ダムから、松江市をはじめとして本市の旧平田市地域を含む島根県東部に3万5,400トンの水道用水を供給しようとする事業であり、6年後の平成23年度(2011)からそれぞれの地域へ給水を開始する予定で進められています。尾原ダム建設に伴って国に支払う県の負担金は、ダムの総事業費の5%と決められています。尾原ダム建設の総事業費は国と県の負担割合を決めた、平成5年(1993)時点では980億円であったものが、現在は1,510億円と1.5倍以上にまで膨らんでいます。すなわち、県の尾原ダム建設に伴う負担金は当初計画の49億円から75億5,000万円と増加し、斐伊川水道事業の総事業費は当初計画の409億5,000万円から441億6,000万円へと増加しています。これらの事業費の増加は尾原ダムから受水する各市町の負担の増加、そして受益者である住民負担の増加、つまりは水道料金の値上げにつながる恐れがあると考えられます。島根県は過大な需要予測に基づき本事業を進めており、今後の負担のあり方など課題を多く抱える事業であります。
そこで伺います。
第1に、合併前の平田市では平成2年(1990)に尾原ダム受水への参画を決定し、平成35年(2023)には日量3,600トンを受水するという計画になっていますが、この旧平田市での計画が適当であるかという問題について伺います。
1点目に、平成2年(1990)に当時の平田市が県に要望した、日量3,600トンの具体的根拠を伺います。また、尾原ダムからの受水を予定している地域はどこですか伺います。
2点目に、人口が減少するという社会情勢の中で、水需要予測が適当かどうかに疑問があります。受水予定地域の将来人口の予測を伺います。
第2に、2市4町の合併という大きな情勢の変化がありましたが、新出雲市となった現在、この斐伊川水道事業での尾原ダムからの受水計画に変更はないのですか。市長の所見を伺います。
また、同時に合併に伴い県からの計画変更の、問い合わせがあったのかどうか伺います。
第3に、水道料金への影響について伺います。
1点目に、尾原ダムの建設事業費が1.5倍へと膨張し、斐伊川水道事業の総事業費が増加していますが、尾原ダムから受水した場合に出雲市の負担増かにはなりませんか伺います。
2点目に、平成15年(2003)2月の県議会での県企業局長の答弁によれば、給水開始後30年間の平均供給単価は、1トン当たり170円程度と試算されており、この単価は高い水道料金につながりかねません。水道料金に影響し値上げにつながる可能性はありますか伺います。
島根県の包括外部監査結果報告書によれば、参画市町の実際の契約水量が県の需要予測水量である3万5,400トンに達しない場合は、料金単価が高くなると指摘をしています。事実、江の川水道事業では水の需要見込みと実態に大きな乖離があり、供給単価は江津市1トン当たり130円を超えるという状況です。尾原ダム受水参画市町のうち最大の割合を占める松江市は、長引く景気の低迷や節水意識の徹底による水需要の鈍化を予見し、県受水量の見直し受水関連事業の徹底見直しを行うとしています。本市においても高い尾原ダムからの3,600トンの受水見直しを求めますがいかがですか。市長の所見を伺います。
次に、神戸川工業用水事業についてであります。
この事業は斐伊川の治水を目的として、神戸川上流で建設中の志津見ダムを水源として、当時の出雲市の要望を受け工業用水を日量2万8,000トン給水するという計画で始められた県の事業であります。当初、平成9年度(1997)完成予定であった志津見ダムは、平成22年度(2010)に完成予定と工期が大幅に延び、ダムの総工事費は660億円から1,450億円へと2倍以上になり、また、この事業での給水計画は当初は2万8,000トンでありましたが、変更を繰り返し現在では9,300トンを出雲市に給水予定とされています。事業は現在工業用水を引くための専用施設工事には着手しておらず、志津見ダムに用水利用の権利を確保したにとどまっています。9,300トン規模の専用設備を今後建設した場合の総事業費は79億5,000万円と見込まれ、財政難にあえぐ県にとって、この負担は非常に大きいものと考えられます。
そこで伺います。
第1に、平成13年(2001)2月、平成15年(2003)3月に、出雲地域の既存企業に現在の使用水量と工業用水受水見込みについてのアンケートは県によって行われ、アンケートの回答をもとに給水計画の見直しが行われ、計画給水量が減少したようでありますが、この要因は何ですか伺います。
第2に、平成15年(2003)に策定された現在の給水計画では、山陰道、出雲インター付近に開発予定の工業団地である、新ビジネスパークに6,500トンの給水予定となっています。この新ビジネスパークへの進出企業が日量6,500トンの工業用水を利用するという根拠をお示しください。
第3に、9,300トンのうちの新ビジネスパークへの給水予定の6,500トンを除いた、2,800トンは市内の既存企業へ給水する予定となっています。企業への確約でも取っておられるのでしょうか。この供給見込みの具体性を伺います。
第4に、志津見ダムの建設に伴い当初より出雲市は県に対し、工業用水の給水を要望してきました。変更を繰り返した給水予定量は平成13年(2001)の計画である、9,300トンという給水量は今日時点で普遍であり、既存企業が利用予定量を変更したにもかかわらず、平成15年(2003)に決められた今日時点でも、給水量自体には変更がありません。多大な経費を必要とするこの県事業は、出雲市が県に要望したことで始まったという経過があります。県が財政難にあえぐ状況の中、この神戸川工業用水道事業に対する出雲市の責任は大きいと考えますが、いかがですか所見を伺います。
質問の第3は、出雲市行政の市民への対応についてであります。
10月の終わりごろに市役所に生活保護の相談に行かれた方から、窓口での対応が事務的で冷たく、相談に乗るという姿勢が見られないとの苦言が私どものところに寄せられました。また、仕事用の用事で市役所に訪れた方からも、市役所は事務的でそっけない。ご苦労様の一言でも聞かせてほしいとの声が寄せられています。度重なる賃下げと合併による業務量の増加で大変な状況の中、本市職員の日々の努力と市民への厚い姿勢に、私自身感銘を受ける瞬間も多くありますが、一部のこのような声が寄せられることは非常に残念なことであります。長引く不況と所得の下がる今の社会情勢の中、特に生活保護や介護保険、国民健康保険など、市民からの相談について住民の立場に立った親身な対応を求めますが、いかがですか伺います。
次に、税金や各種の公共料金滞納者への対応について伺います。
先月のはじめごろ私のところに相談に来られた方から、児童手当から保育料滞納分が何の連絡もなしに差し引かれ、しかもおくれて支給されていたとのお話をお聞きしました。この方はさまざまな事情により毎日の食事にも頭を悩まし、生活が大変苦しい状況でした。このような状況が数カ月間続いており、保育料は以前から滞納していたとのことでした。詳しくお話をお聞きすると、ことしの6月に児童手当が支給されるときは、保育料の滞納額を差し引くとの事前の通知があり、全額が差し引かれては生活に大きな支障を来たすので、市に対しては滞納額の半額程度の引き去りにとどめてもらうようにお願いし、6月の児童手当支給については、本人の意向どおりになったとのことでした。しかしながら、9月の児童手当の支給に関しては、本来であれば7日に指定の講座への振込みがなく、約1週間後の13日に本来支給される児童手当の額よりも、大幅に少ない金額が収納管理課の名前で振り込まれていたとのお話でした。私が市民福祉部の子育て事業課に問い合わせると、事前に通知を行い支給日の直前の5日までに連絡が来なかったので、児童手当から保育料の滞納分を差し引いて支給したとのお話でした。また、通知の文書にはご連絡なき場合は承諾したものとする旨の文書を入れていたとの報告がありました。相手にどんな事情があるのかも把握せずに、しかも本人の承諾なしに滞納額を差し引いたのであれば大きな問題であると考えます。
そこで伺います。
第1に、この事例のように保育料滞納者に対する、児童手当からの保育料の引き去りはいつごろから行われていたのでしょうか。これまでの状況を伺います。
第2に、滞納者に対するこのようなやり方は、住民の暮らしを支えるべき自治体として、やってはならないことだと考えますが、部長及び市長の所見を伺います。
第3に、税金や公共料金を支払わず滞納者となり、差し押さえの対象となるような、いわゆる悪質滞納者の定義とはどのようなものですか伺います。
第4に、税金や公共料金を滞納している方々には、生活に困っておられる方が多くおられます。市民の暮らしを守るという立場から、このような滞納世帯に対する相談対応について、それぞれの各部局間の連携はどのようになされているのですか伺います。
質問の最後は、青年の雇用問題についてであります。
私は6月議会でもこの問題を取り上げましたが、再度この問題について取り上げます。
青年を取り巻く雇用環境は依然として厳しく、総務省の2004年、労働力調査によれば、15歳から24歳までの若者はほぼ2人に1人がアルバイトやパートなどの非正規雇用という実態です。アルバイトやパート、派遣社員ではボーナスを受け取ることもありません。15歳から34歳の正社員とフリーターでは、年収格差が実に4倍にも達しています。正規、非正規にかかわらず働く人々の賃金の基礎となり、都道府県ごとに決められている最低賃金は、島根県では時給にして612円という低さです。毎日8時間、1日8時間、1カ月に20日間働いたとしても、1カ月の給料はわずかに9万7,920円です。最低賃金で人を雇うということは実際には少ないにしても、時給650円という数字ならば出雲市内でもかなり見かけることがあります。時給650円であっても毎日8時間の月20日勤務で、1カ月の収入はわずかに10万4,000円です。生活していくだけでも苦しい状況ではありませんか。この島根県の最低賃金である時給612円という数字は、現実的に生活できない賃金で余りにも低すぎると考えますが、最低賃金に対する市長の所見を伺います。
次に、本市で現在検討中の若年者就業支援センターについて伺います。
先日発表された出雲市のグランドデザイン案には、出雲で育った人材が地元で活躍できる環境づくりに向けて雇用拡大に努めます。特に若年層は全国的に高い離職率と失業率や、フリーターやニートの増加は懸念されており、若年者就業支援センター等の設置について検討しますと明記されており、若年層での雇用問題の解決につながればと期待をしています。高い離職率の背景にはさまざまな要因が複雑に絡み合っていると考えますが、職場でも学校でも労働基準法をはじめ、労働者としての基本的人権や雇用主としての企業の責任について何も知らされておらず、実際にはサービス残業や突然の解雇など、違法、脱法状態のもとで泣き寝入りの状態になっていることも大きな要因の1つではないかと考えられます。現在検討中の若年者就業支援センターでは、職業紹介や適正診断などの就業支援、職業訓練を行うとともに、労働基準法など働く者の基本的権利や雇用主の責任のあり方などを知らせるなど、泣き寝入りしないための学習会を開催するような機能を持たせてはいかがでしょうか。今日時点でも市役所の無料職業紹介やハローワークとの情報交換等も行われていますが、この若年者就業支援センターの早期の設置を望みます。今後の見通しと施設の内容について伺います。
以上で、すべての質問を終わります。
最近のコメント