1番、日本共産党の大国陽介でございます。
議案4件、陳情1件について、討論を行います。
初めに、議第162号、出雲市国民保護対策本部及び緊急対処事態対策本部条例、議第163号、出雲市国民保護協議会条例についてであります。
この2件の条例案は、国民保護法の成立に伴い制定されようとするものであります。国民保護法は武力攻撃事態法に基づき、米軍や自衛隊が軍事活動を行う際に、国民保護の名で国民を統制、管理、動員する法律です。武力攻撃事態法では、日本が攻撃を受けていない状態であっても、政府が武力攻撃予測事態と認めれば、自衛隊は行動を開始し、国民を動員できる仕組みとなっています。
つまりイラク戦争のような事態が起こり、政府がこれを武力攻撃予測事態であると見なせば、自衛隊を戦闘地域まで出動させて米軍を支援し、そしてこの作戦に自治体、民間企業、国民を動員することができるようになっています。外部からの不当な侵略や大震災や大規模災害のときに、政府や地方自治体が国民の保護に当たらなければならないことは当然のことであります。これら有事法制における国民保護計画は、第1に、米軍と自衛隊の軍事行動を最優先するための国民動員計画であること、第2に、アメリカの戦争に地方自治体や公共機関、その労働者を動員するという計画であり、災害救助における住民避難計画とは根本的に異なるものであります。よって、これら有事関連法の制定に伴って、国、地方自治体、指定公共機関の責務を定め、国民に戦争協力させるという一連の動き、そして、その具体化を進めるこれら2件の条例案には反対であります。
次に、議第164号、21世紀出雲のグランドデザインを定めることについてであります。このグランドデザイン案では、住民が主役のまちづくりとの基本理念がうたわれていることや、依然として厳しい状況の続く雇用問題解決に向けた取り組み、学校教育施設の整備など、出雲市の将来に欠くことのできない内容が多く含まれています。しかし、その一方で、先ほども述べましたが、有事法制に基づく国民保護計画や終結すべきである同和教育の推進、また、住民サービスの低下につながりかねない行政事務の民間委託の推進などが含まれています。よって、本議案には賛成することはできません。
次に、議第172号、地方分権確立に向けた出雲市行財政改革推進条例についてであります。
この条例案は、第1条で安定した行政サービスの提供及び住民福祉の向上に寄与することを目的とされています。しかしながら、第6条の(3)では、積極的に民間委託を推進し、コスト削減を図ることとされています。民間委託の推進は、住民福祉の向上と相反することが多くあり、積極的に推進すべきものではありません。また、同じく第6条の(8)では、市税の滞納防止を図るため、収納対策を強化することとされています。長引く不況と相次ぐ負担増で公共料金や税金を滞納している市民は増加の傾向にあります。この収納対策の強化は、不況にあえぐ滞納者に対する制裁措置の強化につながり、この強化が自治体の信頼を損ねることにもつながりかねません。よって、本条例案には賛成できません。
今日の情勢のもとで、自治体の本来あるべき姿は住民の暮らしの守り手となることであります。そして、行財政改革は、現在の事業を住民、職員の参加のもとで見直し、行政サービスを向上させることを第1にするべきであると考えます。
最後に、陳情第22号、「観光大国・出雲の創造に向けた、出雲大社の門前町の再生に向けて…」〜観光施策に係る陳情〜についてであります。
私は、出雲大社門前町の再生は、本市の観光産業の振興においては必ず成功させなくてはならない事柄であると考えます。本陳情で述べられている阿国座の創設については、現在、21世紀大社門前町開発調査検討会議において、施設の建設も含め検討されている事項であります。施設の建設に当たっては、建設コストや維持管理費を広く公開するとともに、陳情者のみならず広く市民の合意を得て進めるべきものであると考えます。これらのことを考慮したとき、阿国座の早期建設を求める本陳情は、採択ではなく趣旨採択すべきものと考えます。
以上で討論を終わります。
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